Facebookユーザーの8,700万人分の個人情報が流出して不正利用されていたことが明らかになり、フェイスブックへの規制が強化されようとしている。しかし、「ユーザーデータの販売で稼ぐ」というビジネスモデルの盤石さにはいささかの陰りも見えない。広告主はなぜ、これほどまでにフェイスブックを支持するのか。
Facebookユーザー8,700万人分のデータが不正利用されていた問題を巡り様々な意見があるが、いまだにフェイスブックは広告主に好まれているということだ。
「産業界全体では、依然として前向きにとらえられていますし、今後もフェイスブックはパートナーとして信頼できるという考え方も揺らいでいません」と、広告会社PMGのソーシャルメディア&インフルエンサー・マーケティング部でディレクターを務めるアンジェラ・シーツは語る。
フェイスブックの“改心”で2つの規則が変わる
フェイスブックに空前の繁栄をもたらす燃料となっているのは、このデータ販売というサービスで請求する金額だ。フェイスブックの収益は2017年、406億ドル(約4兆4,100億円)にまで達したが、そのほぼすべてが広告収入から得たものだ。アナリストたちの予測によると、今年は約550億ドル(約5兆9,730億円)を記録するだろうという。
「ユーザー20億人」という圧倒的な強さ
近いうちに、この機能に対する規制が厳しくなるはずだ。マーケティング担当者がそうしたメールのアドレスを利用するには、はっきりとした許可を得なくてはならなくなる。結果として、広告主の多くはメールのリストを減らさざるを得なくなり、類似ユーザーの保存数も激減するはずだ。
しかし、そのような変更がなされたとしても「Facebookはツールの面でも、特異性においても、ほかのプラットフォームのはるか先を行っています。彼らが最良の選択肢とされることに変わりはないでしょう」とブオースは言う。
インフルエンサーの有効活用、大麻でも
米国では8州が大麻を合法化したが、その広告・宣伝は厳しく規制されている。フェイスブックとグーグルでは全面的に禁止だ。だがインフルエンサーのマネージメント会社Traackrは、「インフルエンサーを介して大麻のコミュニティーとつながることは、ブランドにとって大きなビジネスチャンス」と唱える。現在、インフルエンサーのプラットフォーム上での活動には制限がないことを念頭に置いているのは言うまでもない。「インフルエンサーは、顧客が最も興味を示す分野のコンテンツを見つけ出すことができます。ですからブランドは認知度を高めつつ、顧客と極めて高いレベルの個人的関係を築くことができる」と話すのは、同社CMOのカーク・クレンショー氏。同社が行った大麻ブランドの活動と有効性に関する調査では、ブランドエンゲージメントを高めるプラットフォームは「断トツでインスタグラム」という結果が出たという。
余談ながら、米国では1971年からタバコ会社のテレビ広告は禁止されているにもかかわらず、米国で最も価値あるトップ10ブランド(カンター・ミルウォード・ブラウンのランキング調査『ブランドZ』による)にマールボロが入っていることは特筆すべきことだ。