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インフルエンサーROIを正しく測る|費用対効果の計算式と改善法

インフルエンサーマーケティングへの投資が増加する一方で、その費用対効果を正確に測定できている企業は少ない。「バズったが売上につながったのか分からない」「フォロワー数は多いのに成果が出ない」といった声が多く聞かれるのは、ROI測定の仕組みが整っていないことが根本的な原因だ。正しい指標の選定と計算式の理解が、インフルエンサー施策の改善サイクルを回す第一歩となる。

まず、インフルエンサーマーケティングにおけるROI(投資対効果)の基本計算式を確認しておきたい。ROI =(施策による利益 − 施策コスト)÷ 施策コスト × 100 である。たとえば、インフルエンサー施策に100万円を投資し、そこから生まれた売上が300万円、利益率が40%とすると、利益は120万円となり、ROI =(120万円 − 100万円)÷ 100万円 × 100 = 20%となる。この計算自体はシンプルだが、問題は「施策による利益」をどう正確に把握するかにある。

施策効果の測定に使われる主要指標は3つある。CPM(Cost Per Mille:1,000インプレッションあたりのコスト)は認知施策の効率を測る指標だ。新商品のローンチやブランド認知拡大を目的とする場合に適している。CPE(Cost Per Engagement:エンゲージメント1件あたりのコスト)は、いいね・コメント・シェアなどのアクション単価を測る指標であり、ブランドへの関心度や共感度を評価する際に活用する。CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得1件あたりのコスト)は、実際の購買やサービス登録など、ビジネス成果に直結する指標だ。

これら3つの指標を施策の目的に応じて使い分けることが重要である。認知段階のキャンペーンにCPAだけを適用すると、本来成功している施策を「失敗」と判断してしまうリスクがある。ファネルの各段階に適した指標を設定し、総合的に評価する視点が求められる。

もう1つの重要な概念がアトリビューション(成果帰属)のウィンドウ設定だ。インフルエンサーの投稿を見た消費者が、その場ですぐに購入するとは限らない。投稿を見て興味を持ち、数日後に検索し、さらに数週間後に購入するというケースは珍しくない。そのため、業界標準として30日間のアトリビューションウィンドウを設定することが推奨されている。インフルエンサーの投稿から30日以内に発生したコンバージョンを施策の成果として計上する仕組みだ。UTMパラメータ付きのリンクやプロモーションコードを活用することで、このトラッキングが可能になる。

ある化粧品ブランドの事例が参考になる。同ブランドは当初、投稿直後の24時間以内の売上のみを成果として計測していたが、30日ウィンドウに切り替えたところ、インフルエンサー施策由来の売上が約3.2倍に増加した。つまり、従来の計測方法では施策の効果を大幅に過小評価していたことになる。正確な測定なくして正確な投資判断はできない。

ROIをさらに向上させる有効な手法として、コンテンツの二次利用がある。インフルエンサーが制作した写真や動画を、自社の広告クリエイティブ、ECサイトの商品ページ、メールマガジンのビジュアルなどに再活用することで、追加の制作コストをかけずにコンテンツの価値を最大化できる。二次利用を前提とした契約を結ぶ際のコスト増を加味しても、自社で同品質のコンテンツを新規制作するよりも大幅にコストを抑えられるケースが多い。

ROI改善のためのPDCAサイクルとしては、四半期ごとに指標を見直し、パフォーマンスの高いインフルエンサーへの投資を増やし、低パフォーマンスの施策を改善または中止するというプロセスが効果的だ。データに基づいた意思決定を継続することで、インフルエンサーマーケティングのROIは着実に向上していく。

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