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9市場キャンペーンに学ぶKPI設計と振り返り方

「キャンペーンは回したけど、結局うまくいったのかどうかわからない」。複数市場で同時にインフルエンサー施策を展開する企業ほど、この悩みに直面します。驚くべきことに、キャンペーン後に体系的な振り返りを実施している企業は全体の40%未満というデータがあります。でも今は、KPI設計と振り返りの方法論が確立されつつあります。この記事では、韓国・台湾・香港・中国・タイ・ベトナム・米国・オーストラリア・英国の9市場でキャンペーンを展開した経験から、市場特性に応じたKPI設計と効果的な振り返り方法をお伝えします。

市場ごとにKPIの基準値が異なる現実

まず理解すべきは、「全市場共通のKPI」は存在しないということです。アジア市場(韓国・台湾・香港・中国・タイ・ベトナム)ではCTR(クリック率)の平均が2〜5%に収まる一方、欧米豪市場(米国・オーストラリア・英国)ではエンゲージメント率が3〜8%と幅広く推移します。これはSNSの利用習慣やコンテンツ消費の仕方が地域によって大きく異なるためです。たとえば台湾ではInstagramのストーリーズ経由のリンククリックが活発ですが、タイではTikTokでの動画視聴完了率が重視される傾向があります。画一的な数値目標を設定すると、ある市場では「大成功」なのに別の市場では「失敗」と判断されてしまうケースが起こります。

9市場キャンペーンから見えたKPI設計の3原則

9市場で同時にキャンペーンを展開した際に確立した3つの原則があります。第一に、各市場のベンチマークを事前に調査すること。過去のキャンペーンデータや業界レポートから、その市場での「平均的な数値」を把握しておきます。第二に、KPIを「必達目標」と「ストレッチ目標」の2段階で設定すること。必達目標は市場平均の80%、ストレッチ目標は市場平均の120%に設定すると、現実的かつ挑戦的な目標になります。第三に、定量KPIだけでなく定性KPIも設けること。コメントの感情分析や、ブランドメンションの文脈などは数字だけでは測れない重要な指標です。

ケーススタディ:飲料ブランドの6市場同時展開

ある日本の飲料ブランドが、韓国・台湾・タイ・ベトナム・米国・オーストラリアの6市場で同時にインフルエンサーキャンペーンを実施した事例を紹介します。各市場で3〜5名のマイクロインフルエンサーを起用し、合計22名体制で展開しました。KPIは市場ごとに設定し、アジア4市場ではCTRを主要KPIに、欧米豪2市場ではエンゲージメント率を主要KPIにしました。結果として、台湾市場ではCTR4.2%と最も高い成果を出し、米国市場ではエンゲージメント率5.8%を記録。一方で韓国市場はCTR1.8%と想定を下回りましたが、コメントの質が非常に高く、ブランド認知度調査では最も高い伸びを示しました。数字だけで判断していたら韓国市場は「失敗」と見なされていたでしょう。

振り返りを「資産」に変える4ステップ

キャンペーン終了後の振り返りは、次の施策の精度を上げるための最重要プロセスです。ステップ1は、KPI達成率の集計。市場別・インフルエンサー別に数値を整理します。ステップ2は、成功要因と課題の分析。なぜその市場で成果が出たのか、あるいは出なかったのかを掘り下げます。ステップ3は、学びのドキュメント化。次回のキャンペーンで再現できるように、具体的なアクションレベルで記録します。ステップ4は、関係者全員への共有。マーケティング部門だけでなく、営業や経営層にも結果を共有することで、次回の予算確保がスムーズになります。振り返りを実施している企業が40%未満という現状は、裏を返せば、きちんと振り返りを行うだけで競合に差をつけられるということです。まずは次のキャンペーンで、シンプルな振り返りシートを1枚作るところから始めてみてください。

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